元・テレビマンが教える、Web動画ディレクション入門 〜はじめに〜

投稿日: カテゴリー: Web動画ディレクション, 動画制作入門

 

大・動画制作時代がやってくる

インターネット広告費が、2017年に2000億ドル(約22兆円)を突破して初の首位に踊り出る見通しだそうです。
これがもし実現するなら、世界の広告市場に20年以上君臨し続けたテレビが、ついに王座から陥落する年となります。

と、言うことは、2017年は広告業界にとって、ひとつの大きな分岐点になります。
いや、広告業界に限ったことではなく、テレビを含めたメディア業界全体の勢力図も塗り変わる、そんな境界線の年になる気がします。

そして、その「インターネット広告費」躍進の陰には、Web動画の需要拡大があるはずです。

ボクがテレビ業界からWeb業界へと転身したのは2014年。
その頃はまだまだ、テレビの方が大きな存在でした。

でも、最近はどうでしょう?
ここ3年で、一気に状況が変わった感じを受けます。

そう思うようになったきっかけの一つが、Web動画の発注量の増加でした。

間違いなく、3年前よりもWeb動画を作って欲しいというオーダーが増えてきたのです。

そしてもう一つは予算の拡充があります。
「出来るだけ安く」と言っていた時代はいつしか終わり、今やしっかりとした見積もりをベースに、発注者が動画の内容やクオリティにまでしっかりと気を配るようになったのです。

趣味動画と商用動画の大きな差

正直、動画なんて誰でも作れます。

これは、テレビ番組を制作していた時代から思っていたことです。
それは、時代の流れとともにもっと明確になりました。
今や、iPhoneを片手に撮影し、iMovieかなんかの無料編集ソフトを使えば、それなりの動画を仕上げるなんて、そんなに難しいことではありません。

ただし、それはあくまで趣味の範囲内でのことです。
商用である限り、Web動画はつくればいいというものではありません。
これもまた、テレビマン時代から思っていた信念にも近い考えです。

では、どんなところに気をつければ良いのか?

もちろん、一言で語れるほど簡単ではありません。

ただ、確実に言えることが1つだけあります。

これから大事になってくるのは、撮影技術や編集技術だけではない、ということです。

撮影のプロ、編集のプロを数多く抱えながら、専門スタッフと連携を取り、迅速かつ適切な動画を仕上げ、納品していくためのスキルが必要になってくるハズです。
つまり、総合メディアとしての動画制作を滞りなく進行させるディレクションスキルが必要になるということです。

動画制作ディレクションの必要性

誰もがWebサイトを作れる時代において、Webサイトの制作進行を司るWebディレクターが出現しました。
同じように、今後はWeb動画を制作するにあたって、「Web動画制作ディレクター」のチカラが必ず必要とされる時代になるということです。

その最初の兆候として、ここ最近では、仕事として動画を制作する際に、動画制作経験のない代理店の営業やWebディレクターがディレクションとして参加することが増えてきました。
業界としての裾野の拡大は喜ぶべきことですが、残念ながら「ちゃんとした動画制作ディレクション」を行えるディレクターは少ないと言うのが正直な印象です。

それはそうでしょう。
これまで紙媒体やWebサイトのディレクションをやってきた人たちが、なんとかして動画制作ディレクションをやろうとしているのだから、テレビ番組のディレクター経験からすると、物足りないのは当然です。

ただ、やっぱりディレクションがしっかりしていないと、プロジェクトは簡単には進みません。
多くのスタッフが関わるプロジェクトなら尚更です。

では、自分がやれば良いじゃないか?

いえ、先方が「ディレクター」として入っている以上、こちらはあくまで受注側ですから、それ以上の越権は出来ません。
いや、しないのがルールだと思っています。

もっと極端な言い方をするなら、「ディレクション料」を頂いていないのに、こちらとしてもそこまでは出来ないのです。

この話は、あらためて「制作費の章」などでトピックとして取り上げたいところですが、今回は置いておきます。

さて、では、そうした初心者ディレクターさんたちは、どうディレクションを学んで行けば良いのでしょうか?

動画制作ディレクションを学ぶためには?

さて、そういった人たちは、動画制作ディレクションをどこで学べば良いのか?

もちろん、実戦で鍛えるというのも一つの手です。
しかし、そんなOJTで何とかなるほど簡単なものでもありません。

では、本を読めば良いのか?
実は、意外なことに、そのスキルや心得について書かれた本はほとんどありません。
あっても、撮影や編集の技術的なことばかり。
もちろん、そのあたりを勉強することも大事なのですが、全体管理をすべきディレクターとしての全体像を描いた教則本はなかなか無いのです。

そして、Webで検索しても、出て来るのは映像制作会社のWebサイトばかり。
プロ目線の難しい言葉で、自社の「素晴らしさ」を書き連ねているものがほとんどでした。

もしかしたら、こういう知識が水面下で求められているのではないだろうか?
これはあくまでボクの憶測でしか無いのですが、そんな疑問がふと浮かびました。

そう思っていた矢先、得意先から「動画制作ディレクションの入門講座」を開催して欲しいと相談がきたのです。

なるほど、やっぱり需要はあるようだ。
それなら、せっかくだから自分なりの動画制作ディレクションのセオリーを記してみようと思い立ちました。

そして、そのセオリーをベースに、必要に応じて講演会でもセミナーでも勉強会でも開催すればいいのでは、と。

業界の拡充は、きっと回りまわって自分のためになるハズです。

そんな思いから、まずは個人メディアの中に記事を書き溜めていくことにしました。

これはボクが、テレビ番組のディレクターとして番組制作(映像制作)のセオリーを学び、さらにWeb業界に転身したことで、その方法論をWeb業界での動画制作ディレクション向けに落とし込んだスキル本になる予定です。

この先、さらに多くの人がWeb動画をつくる時代になるでしょう。

その人達のための、ちょっとしたアドバイスとしての先導灯になれたらいいな。

そんな風に思っています。

これからの連載、ぜひお楽しみに。